寄生虫
亡くなったばかりで何も手つかずなのだろう。


克哉が他の人には見せたくないものだって残っているかもしれない。


しかし、だからこそ今じゃないと得られない情報もあるのだ。


「俺たちは……克哉が自殺するなんて考えていません」


何か言いわけを考えているのかと思ったが、京介は素直な気持ちを伝えていた。


その行為には少し驚いたけれど、でも正しい判断だと感じた。


下手な言いわけをして部屋の中を探るのは心苦しい。


「克哉は自殺するような人じゃない。あたしもそう思っています」


続いて真尋が真っ直ぐに母親を見てそう言った。


「あたしもです」


「あなたたち……」


母親の目に涙が浮かぶのがわかった。


「わかったわ。克哉の部屋に案内するから」
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