寄生虫
☆☆☆

自室に戻ったあたしはまたテレビをつけていた。


すぐに寝ようかと思ったのだが、明日は学校が休みだということを思い出したのだ。


学校の記念日らしく、いつもの休日ではないからすっかり忘れていた。


ベッドに寝転がってぼんやりとテレビを見ていると、色々な生き物に寄生して生きている寄生虫の話が始まった。


虫のお腹の中で卵から幼虫にかえる虫。


動物の体内で移動しながら成長していく虫。


想像よりも寄生虫の数ははるかに多いようで、グロテスクとも呼べる映像を見ていた。


ベッドに横になっていると徐々に瞼が重たくなっていくのを感じる。


テレビ、消してから寝なきゃ。


そう思うけれど、もう体は眠りの体制に入っていて動こうとしない。


瞼も徐々に下がって行き、耳だけがその番組の音を聞いていた。


《寄生虫の中には人間の体内で生きていくものもいて、血管の中を移動している場合は脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性もあり、とても怖いものとされています》


司会者のそんな声が、遠くに聞こえたのだった。
< 24 / 195 >

この作品をシェア

pagetop