寄生虫
できればバラにはかゆみの原因を知られたくなったのに……。


そう思っていると、バラが呆れたような視線をあたしに投げて来た。


嫌な予感が胸をよぎり、何も言われていないのに黒くて重たい感情が胸の奥に鎮座した。


「部屋の掃除をちゃんとしてないからそんな事になるのよ」


案の定、バラはあたしを見下すような、責めるような口調でそう言って来た。


あたしは自然と奥歯をかみしめる。


これが他の人からの言葉なら笑って返す事ができたと思うけれど、バラに言われたら笑う事すらできなかった。


「掃除してるし」


冷たく言い返し、バラから視線を外す。


「してないからこんな事になってるんでしょ?」


バラはあたしの右腕を掴んでそう言った。


「もう、ほっといてよ!」


あたしはそう言うと勢いよく立ち上がり、足音を立てながら自室へと戻ったのだった。
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