寄生虫
「今日はサナギも応援に来てくれてたんだよ」


真尋がそう言うと、ようやくあたしの存在に気が付いた克哉と京介がこちらを向いた。


あたしは他の女の子たちに紛れながらもなんとか手を振る。


「なに埋もれてんだよ」


そんなあたしを見て京介が笑い、あたしの腕を掴んだ。


あっという間に強い力で引かれ、気が付けば目の前に京介の胸があった。


いくら仲が良くてもここまでの至近距離になることはなかったので、あたしの心臓は大きく跳ねた。


思わず緊張して身が硬くなる。


「それならこれから4人で飯にするか」


京介はあたしの緊張なんて全然気が付いていないようで、呑気にそんな事を言っている。


「だね。じゃ、行こうか」


そう言い、あたしたちは歩き出した。


ファンの子が準備していたプレゼントや手紙は受け取られる事なく、後方から不満そうな声を聞きながらあたしは歩いたのだった。
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