寄生虫
少なくても京介はあたしの事を嫌いではないという、決定的な証拠になったんじゃないだろうか。


「室井さんがマネで入ってきてくれてから練習内容が充実してきたよな」


京介の言葉に克哉は頷く。


「あの子はサッカーについて随分勉強してるみたいだし、感心するな」


「室井って、誰？」


真尋がそう聞くと「最近マネージャーとして入部してきた1年生の女の子なんだよ。小柄で明るくて、元気のいい子だ」と、克哉は答えた。


「ここ数年はサッカーの事を好きでマネージャーになる子が少なかったから、こっちは助かってるんだ」


京介が克哉の言葉にそう補足した。


その表情はとても穏やかで、微笑んでいる。


あたしは見た事のない表情で、一瞬にして心の中に不安のモヤが渦巻き始める。


さっきまでの嬉しさはどこかに隠れてしまい、あたしは京介の顔をジッと見つめた。


「選手と付き合う事を目当てで入部してくる子が多すぎて、話にならなかったからなぁ」


克哉はそう言い、苦々しく笑った。
しかしあたしはその言葉に一瞬ドキッとしてしまった。
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