寄生虫
前向きに
バラから思いがけず褒めてもらえたあたしは、久しぶりにリビングで家族の輪に入っていた。


いつもはバラが話題の中心になるから、家族団らんに参加する事を避けていたのだ。


「その腕、どうした?」


ビールを飲む手を止めてお父さんがあたしに聞いて来た。


夜自室にこもってばかりだから、今まで気が付いていなかったようだ。


「なんだか痒くて」


そう返事をすると「アレルギーか」と、聞いて来た。


あたしは病院へ行った事を説明すると「そこまで掻きむしるのは変だな」と、お父さんは首を傾げた。


「そうなの?」


「お父さんも昔はダニにやられた事があるんだ。でも、サナギほどになった覚えはないな」


「そうなんだ?」


初めて聞くお父さんの話に、あたしは少しだけ興味を持った。


これがアレルギーだとすれば遺伝なのかもしれない。


「でもきっと大丈夫だよ。今日サナギはちゃんと自分の部屋を掃除してたんだから。ね?」


バラにそう言われると、なんだか少し照れてしまう。


いつも対立していたから、優しくされるとくすぐったかった。
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