寄生虫
「宿題できた?」


リビングではお母さんとバラがテレビを見ていて、そう聞いて来た。


「あと半分くらい。ねぇ、見てよこれ、また無意識の内にひっかいちゃった」


「血が出てるじゃないの」


お母さんは心配そうにそう言い、テーブルの上で救急箱を開けた。


中から消毒液とガーゼを取り出す。


「あまり良くなってないみたいだね」


バラが顔をしかめてそう言った。


「そうなんだよね」


「そんなに簡単には治らないわよ。根気強く掃除と薬を続けないと」


そう言いながらお母さんは消毒液をあたしの右腕に垂らした。


ピリピリとした刺激が走るが、それがかゆみを軽減させて気持ちよかった。


ここまでかゆいなんて、本当に治るんだろうかと不安になる。


「気分転換に、3人で買い物でも行かない?」


バラがふと思い立ったようにそう提案してきた。
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