寄生虫
「あら、いいわね」


すぐにそう言ったのはお母さんだった。


「買い物って、どこへ?」


「どこでもいい。行きたい場所に適当に行って楽しく過ごそうよ、ね?」


「ノープランのお買いものね」


そう言い、微笑むお母さん。


「でも宿題が……」


バラと一緒に出かける事なんてここ半年ほどなかったため、あたしは気まずさからそう言った。


「宿題はあと半分なんでしょ? わからない問題は後から教えてあげるから、ね?」


バラにそう言われればあたしも断る事はできなかった。


なにより、お母さんがとても嬉しそうな顔をしているのだ。


「……わかった」


あたしは気まずさを心の奥へと押し込めて、そう返事をしたのだった。
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