寄生虫
☆☆☆

バラと出かけるのが久しぶりだと言う事は、親子3人で出かける事も久しぶりだった。


お父さんもお母さんも反抗期の娘だから仕方がないと諦めていたようだけれど、やっぱり一緒に出かける事は嬉しいようだ。


「はじめに、どこに行きたい?」


運転席のお母さんは助手席のバラにそう聞いた。


「あたしは新しい洋服でも見たいな」


「サナギは?」


「……あたしも」


あたしは後部座席からそう返事をした。


もしかして、昨日あれだけ服を捨てていたのを気にしてくれているのかもしれない。


そう思うと自分だけが子供のような気がして、なんだか少し恥ずかしくなった。


「サナギはもっとカラフルな服を着ればいいのよ。今日はあたしが選んであげるから」


バラはそう言い、楽しそうに笑ったのだった。
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