寄生虫
「どれどれ、お母さんにも見せて見て」


そう言ってカーテンを開こうとするものだから、あたしはそれを阻止した。


「なによハズカシがっちゃって」


バラが小さく笑いながらそう言う。


「だって……」


ほんのりと頬が赤くなる。


家族相手に照れるような服じゃきっと外には着ていけれない。


「あら、よく似合ってるじゃない。その服、特別にお母さんが買ってあげる!」


「え、いいよそんなの!」


「いいのいいの。今日はお母さん機嫌がいいんだから」


「じゃぁあたしはこのネックレス買ってもらおうかなぁ」


お母さんの後ろでバラがちゃっかり自分の欲しいものを選んでいる。


「いいわよ。さ、2人とも早くレジに持ってきて」


そう言われ、あたしは慌てて服を着替えてレジへと向かったのだった。
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