寄生虫
☆☆☆

足元に置いた白い紙袋の中にはカラフルな服が一着。


あたしはそれにチラチラと視線を落としながら、昼食になるパンケーキを食べていた。


このデパート内に先月末オープンしたばかりのレストランだ。


「なかなかおいしいわね」


お母さんはカレーを食べながらそう言った。


バラはその隣でかつ丼を食べている。


2人ともガッツリ食べているけれど、さっき洋服を買ってもらったあたしは気がねしてしまってパンケーキを選んだ。


これだけでも十分お腹はいっぱいになるし、おいしいから満足している。


「こうして女3人での買い物、また来ましょうね」


お母さんがポツリと呟くようにそう言った。


「もちろん。ね、サナギ」


「え……うん」


あたしはぎこちなく頷く。


お母さんはずっとこういうのを望んでいたのだと知って、少しだけ胸が痛くなった。


誰でも親から離れている時期は来る。


一緒にいる間にもっと仲良くしておかないと、自分自身だって後悔するかもしれない。
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