寄生虫
こんな自然な仕草1つ1つもあたしは大好きだ。


「なんか、いつもと雰囲気違うな」


「え?」


「女の子らしい感じがする」


京介にそう言われ、あたしの頬は一気に熱くなる。


きっと顔は真っ赤になっているだろう。


それでも心はとても嬉しくて、思わずにやけてしまう。


「そ、そうかな?」


素知らぬ顔をしながらも、心臓はドクドクと早くなりそれを悟られないようにするために必死だった。


「今日はサナギも徒歩?」


「うん。京介も?」


「あぁ。姉貴の自転車がパンクしたから、今日は俺の自転車貸してやってんだ」


なんていいタイミングなんだろう。


あたしは内心そう思う。


どちらかが自転車を押して歩いていると、どうしても距離感が出てきてしまう。


今日はその距離感もないという事だ。


「パンクなんて、大変だね」


「あぁ。修理に出しているから夕方に取りに行くって言ってた」


そんな会話をしながらあたしたちは歩き始めた。
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