寄生虫
☆☆☆

その後あたしは目を覚ます事なく朝まで眠りにつく事ができた。


今度は夢を見る事もなく、気が付くとスマホのアラームが鳴っていた。


上半身を起こしてスマホで時間を確認すると、8時を過ぎた所だった。


いつもならバラが起こしに来ている時間だったが、今日は来ていない。


バラの学校行事なんて把握していないから、今日はなにかがあるのかもしれない。


そんな事思ってベッドから下りた瞬間……右腕に冷たい感覚があり、あたしは視線を落とした。


その瞬間、視界に血まみれになっている自分の右腕がうつり、思考回路が停止した。


なんで……?


そう思うと同時に、思わず悲鳴を上げる。


ベッドの腕は真っ赤に染まっていて、鉄の匂いが充満していたのだ。


「サナギ、どうしたの!?」


あたしの悲鳴を聞いて駆けつけてきたお母さんが、真っ赤になったベッドとあたしの右腕を見て、小さく悲鳴を上げた。


「どうしてこんな事に……!」


すぐに駆け寄り、あたしの腕を確認する。


血にまみれているため、どこに傷がついているのかどうかさえ、わからない。


「起きたら……こうなってって」


放心状態でそう答えるあたしを支えるようにして、部屋を出た。
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