寄生虫
☆☆☆

「付き合わせちゃってごめんね」


家に戻るとようやく一息つくことができて、あたしはバラに申し訳ない気分になった。


バラまで学校を休ませてしまった。


「何言ってるの。お母さんはパニックになっちゃうからあたしがいなきゃダメなのよ」


バラはあたしに耳打ちするようにそう言って、ニコッと笑った。


バラの優しさがありがたかった。


「サナギあんたは無理しなくていいよ? 学校に行っている間に何かあったら大変だから」


「うん。でも、もう大丈夫だから」


病院で強い薬をぬってもらったから、今はもうかゆみを感じる事はなかった。


それに、京介にも会いたい。


せっかく昨日2人きりで遊ぶ事ができたんだ。


今日、もっと距離を縮める事ができるかもしれない。


そんな期待をしていた。


「そう。じゃぁ、あたしは今からでも学校に行くから。お母さん、しっかりしてよ?」


バラの言葉にお母さんは疲れたような顔をして「わかってるわ」と、返事をしたのだった。
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