寄生虫
☆☆☆

そして、それから数日後。


病院から検査結果の通知を受け取った。


あらゆるアレルギー検査の結果が書かれている。


ジッと目を凝らすようにしてあたしはそれを1つ1つ確認していった。


決してなにも見逃すまいと陰性、陽性判断の文字を追っていく。


陰性。


陰性。


陰性。


陰性。


異常なしという意味の陰性が連なっている。


「どうして……」


検査結果を持つ手が徐々に汗ばんでくる。


陰性。


陰性。


陰性。


上から下まで、すべてその文字で埋め尽くされていたのだ。


包帯のとれた右腕に視線を移す。


抜糸された今日もかゆみを感じて、我慢できずに少しかいてしまった。


「アレルギーはないみたいですね」


医者のそんな声がどこか遠くに聞こえていた……。
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