寄生虫
「嘘つけ!」


真尋はそう言い、あたしのお箸を秒単位の速さで取り上げた。


お箸を取り上げられたあたしは空腹を満たす事が出来なくなり、真尋をジトリとした目で見つめた。


「薄情するまでお昼はお預け」


ニヤニヤと小悪魔的な笑顔を浮かべてそう言う真尋。


あたしはため息を吐き出して、この間京介と一緒に遊びに行った事を話した。


「2人で?」


「2人で」


「サナギ、よく頑張った!」


真尋は机2つを挟んであたしに抱き着こうとしたが、さすがに手が届かずあたしの頭を撫でて来た。


「で、で? 告白は?」


途端に小声になってそう聞いてくる。


あたしは真尋からお箸を奪い取り、卵焼きに突き立てた。


「してない」


真尋よりも更に小さな声でそう返事をすると、真尋はつまらなそうに口をすぼめた。
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