寄生虫
「それは、そうだけど……」


「室井さんはただの優秀なマネージャー。それだけだと思うけど」


そう言われ、あたしはなんとも言えなくなってしまった。


その通りかもしれないし、そうじゃないかもしれない。


京介の気持ちを聞いていないから、わからない。


そう考えた時、一瞬右腕がうずいた。


かゆみとは違う、この前のように皮膚の下に何かうごめく存在を感じる。


怖くなり、あたしは自分の右腕をグッと押さえつけた。


背中に冷や汗が流れるのを感じる。


「サナギ、どうかした?」


「……なんでもない」


しばらく強い力で腕を押さえつけているとその感覚は治まって行き、あたしは肩の力をぬいたのだった。
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