*Kissよりギュッと*
突然の私の大声に、センパイ彼女の友達が小さく叫んだ。

それに龍もビクッとして私を振り返ったけど、私は自分を止めることが出来なかった。

こんなの許せない。

きっと龍は、龍はセンパイ彼女を大切にしていたはずだ。

私は残りの階段を駆け降りると、驚きのあまり硬直するセンパイ彼女達を睨み付けた。

「純情すぎる?!龍といてもママゴト?!なんで分かんないの?!センパイの事、大切だから簡単にそーゆー事しないんじゃん!なのに、こんな悪口みたいな言い方ってない!!」

「美夜、もういいから、」

後ろから龍が腕を掴んだけど、私は首を横に振った。

「お弁当が超ストレス?!じゃあ傷つけないようにしっかり話し合えばイイじゃん!龍はちゃんと話し合えば分かる奴だもん。なのに、ストレスだなんてひどい!」

涙でセンパイ彼女の顔もその友達の顔も滲む。

「もういいでしょ?終わったんだから」

「それなら余計にもう文句なんて言わないでよっ」

涙声でそう言った私を見下ろして、センパイ彼女がため息をついた。

「…いこ、みんな」

急ぎ足で去っていくセンパイ彼女の後ろ姿が不満げに見える。

ムカつく。ムカつく!!

「美夜」

「っ…!」
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