*Kissよりギュッと*
亜美が再び口を開いた。

「由依も言ってた。もしかしたら美夜は私達に気を使ってたから、何も聞かなかったんじゃないかって。私達に興味がないんじゃなくて、私達が話すのを待ってたんじゃないかって。なのに私達は…美夜が私達に興味ないのかと思っちゃって」

理沙がとうとう泣き出してしまった。

「親友じゃないなんて強がりを言った後、胸が苦しくて自分が嫌で、どうしようもなくなって……こんなことになってやっと気付いたの。私達、やっぱり美夜が好きなんだって」

……私が……好き?

ゆるゆると、胸が温かくなっていく。

心のひび割れが徐々になくなっていって、光沢を取り戻していく感覚。

「私も……ごめん。もっともっと、みんなを知る努力をしていれば良かった。嫌われたくなくて……あまり自分から聞けなくていつも受け身で……ごめんね」

「すぐにとは言わない。でもまた……仲良くしてくれる?」

遠慮がちにそう言った理沙に、私は頷いた。

「私の方こそ。これからはもっともっと、みんなの事を知りたい」

その時、ガラリと保健室の引き戸が開き、由依と杉浦先生がヒョコッと顔を出した。

「おー、目覚めたか?お前、ダイエットしてるらしいな。保健医の安田先生が軽い貧血じゃないかって」

「……そう言えば最近ちゃんと食べてないし、今日は朝から水分すら摂ってなかったー」

そう言った私の頭を先生が軽く指で弾いた。
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