*Kissよりギュッと*
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「元気出しなよ、美夜!永瀬はね、三年の水沢さんと破局になったらしいからさ、ひがんでるんだよ、きっと!」

翌日の土曜日。

今日は瀬沼高校の男子とカラオケの予定だ。

「……明日斗と友達でも龍は違うって思ってたのに…悲しい」

待ち合わせの駅のベンチに理沙と並んで座ると、龍との喧嘩を思い出して私は俯いた。

「田村とマジ友なんだよ?!信じない方がいいに決まってるわ……て、私が偉そうに言えないんだけど」

理沙がミルクティーを私に差し出しながら諦めたように行き交う人々を眺める。

そんな理沙の視線の先を追いながら、私は呟いた。

「ここ最近、龍と仲良くなってたの。愛想ない奴だと思ってたけど少しずつ打ち解けてきて、笑顔なんかも見れたりしてさ。母親思いで優しくてイイ奴だなって。なのに、急に喧嘩になっちゃって……ショック」

「……だけど美夜は悪くないじゃん。勝手に永瀬がキレ出したんでしょ?行くななんて、彼氏気取りもいいと……こ……あ」

理沙がビクッとしたように姿勢を正した。

「ん?」

「…いや、なんでもないけど。あ!来た!陵兄ちゃん!」

改札の手前で理沙の従兄がニコッと笑いながら手をあげている。

「とにかくさ、今日は1日楽しもう!ね?!」

「ん」

……そうだよね。久々だもの、バチは当たらないよね。

私はベンチから立ち上がると理沙の従兄に頭を下げた。
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