僕の太陽
「杏、また?」



目の前の彼女、佐久間唯はガラスのコップの中の氷をカラン、と鳴らしながら呆れ顔を見せた。


「しょうがないじゃん、
諦められないんだもん…」



そうは言ってもね、

と唯が少し下を向くと茶色いふわふわの髪が揺れた


「未来が見えないじゃない」



彼女はたまにキツイ一言をあたしに浴びせるが、
そこには唯なりの思いやりが感じられた。


分かってるよ。
報われない片想いだって。

それでも好きなの。



「圭佑はさ、
あたしのこと拒絶したりしないから…
だから、諦めきれないんだと思う。」


そう、全部あいつのせい。


どれだけあたしが好きだ好きだ言ったって、
手にも触れて来ないくせに

あたしが離れようとすると
ぴったり着いてくるから、
なんかあたし、



「振り回されてるよね…」



よくわかってるじゃん、と唯は苦笑いを浮かべた。







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