僕の太陽
「和寿くんさ、
あいつの両親…知ってる?」

圭佑は俺の部屋のソファにもたれてどこか遠くを見ていた



あれはちょうど、
去年の春の初めだった。
俺らが互いの家に行き来するほどになった頃。

杏を通じて俺と圭佑は知り合い、妙に話が合って俺等はすぐに仲良くなった。

杏は驚いてたな。
「圭佑が心開くなんて…かずさすがだね」って。

今思えば、大切に想うものが同じだったから圭佑は俺を信用したし、俺も圭佑のことを信じたんだろうな




「杏の両親?
あいつは…養子だよ」


「だから、本当の親。」



杏が俺の家の隣に越して来たのは杏が3歳で俺が4歳の時だ、って母親が言ってた。

そのときはすでに杏の両親は今の両親だったはずだ。



「それは、知らないけど」



「だよな、きっと秋崎も知らない。」







俺の中の記憶が蘇る。
小さい、頃の話。

『かずちゃん、
あたしね、おとうさんとおかあさんのほんとうの子じゃないんだって』

でもあたし、
おとうさんもおかあさんもやさしいからだいすき。

だいすき、だけど、
ほんとうのおとうさんとおかあさんにも会いたいとおもうのはいけないことなの?かずちゃん。





杏が両親のことで泣いたのは、
これが最初で最後だった。




言わないだけで
本当はいつも考えているのかもしれない。

杏は、そんな人間だ。




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