僕の太陽
「謙也さん、…あ、秋崎の父親な。
すごくいい人なんだ。
でも、すごく残酷なところがある。


でも俺が中2になったとき、
謙也さんは全てを話してくれたんだ。
秋崎の話も、してくれたよ。

今も謙也さんはこっそり秋崎さんちに送金してるって言ってた。
秋崎は、多分知らないけど」




金を送るから、愛してるなんて
そんなわけないって分かってるんだけどな…、


圭佑はうちの親が作ったビスケットを一口、かじった。
甘過ぎなくて好きなんだと。
毎日メロンパン食ってるやつが何を言うか。

まあそれも杏のせいだと知ったのは最近のことだけど。



「でも、謙也さんといるときの
うちの母さん、
すっげえ幸せそうなんだ。

一人だった時の母さんは…
子供心にも分かるぐらいに寂しそうだった。

だから、俺…秋崎に謙也さんを返せないよ。」




泣きそうな顔で
圭佑は俺の腕をつかんだ。



その時、分かったんだ。
ああ、こいつはずっと一人で抱え込んでたんだなって

俺が思うよりずっと…
重い何かを感じているんだと。




「大丈夫だよ、圭佑。」



俺はバカだから、
そんな事しか言えなくて

自分が最高に嫌になった。


それでも圭佑は満足そうに笑って、
「ありがとう」
と呟いた。
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