僕の太陽
それからあたしたちは、
なんだかそこにいるのも気まずくなって体育館を出ることにした。
ちょうど出口を通る時、
下をむいていたあたしは
ドスン、と何かにぶつかった。


「…圭佑。」


今度は、一人だ。


「秋崎か。
小さ過ぎてわかんなかった。」


「…ばーか、
圭佑がヒョロっヒョロ過ぎて見えないんだよ…」



だめだ。

圭佑の顔が見れない。

見たらきっと、
なんか八つ当たりしちゃう。



唯は、
「先、行ってるね」とあたしの肩をたたいて出ていった。



「ちょ、お前マジでどしたの」
しゃがみながら顔をのぞきこんでくる。

いや、駄目だって。





泣いてんじゃん、
そう言ってあたしを体育館の階段の影に引っ張って行って抱き寄せた。


「やだ、離して、
綾川さんに見られるよ」


「いいよ。」


「圭佑は、自己中なんだよ…」


駄目だと思った。
もうあたしの口は止まらないと思った瞬間。





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