僕の太陽
お互い好きなんだからさ、
と俺は圭佑の肩を軽く叩いてやった。



「秋崎に言われたんだよね、
最低、って」



そう言って頭をかく。
と、いうか圭佑はまだ着替えてないのかジャージのままだ。
しかも半袖。
めちゃくちゃ寒そう。

頭の中で、さっき見た杏の姿を思い返してみればそういえば男子用のジャージを羽織ってたっけ。 そっか、なるほど。


「俺はお前なりに精一杯だと思うけどさ。
杏は…あいつバカじゃん。
ちゃんと言ってやんなきゃわかんないよ」




そこまで言ったところで、
扉が勢いよくバァン、と開く。

それはクラスメイトの梅田竜也だった。


「奈良こんなとこいたの?
探してたんだよ」


「どしたの」

「あの、奈良の幼なじみがさ、
今救急車で運ばれたってみんな騒いでたから」

「は?なんで、」
そこまで言いかけたところで圭佑は更衣室の扉を勢いよく駆け抜けて行った。

「誰かの付き添い、みたいだったけど。あいつどしたの?」

「付き添い、か。
周りが見えないんだよ、許してやって」

「いいね若者は」

「おっさんかよ」


それよりあいつ、病院どこか分かってんのかよ…

やっぱりほっとけないヤツらだよ、って俺は独り言みたいに呟いた。





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