僕の太陽
「秋崎杏です…」


「あははっ、ごめんねー
杏ちゃん人見知りなんだ〜」


そう言ってまた圭佑はあたしの頭をなでる。

駄目だって、そういうことしちゃ。
圭佑ってほんと無神経だよね。
女心が、まるで解ってない。

「…ふーん」


ほら、綾川さん怒ってるよ…



そんな事を思いながらも、
内心嬉しかった。

反面、苦しかった。


圭佑は彼女ができる度、
あたしを紹介する。

長くて一ヶ月しかもたない彼女を、
いちいち紹介してくるのだ。


そのたびに、
あたしは泣きたくなる。
だって紹介された彼女全員に見事に嫌われてしまうから。



そりゃ自分が彼女の立場なら、
腹が立つ気持ちも分かる。


圭佑のあたしへの接し方は曖昧だ。


女友達、より親密で
女兄弟みたいな、
限りなく彼女に近い態度であたしと話すから。





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