私の存在価値を教えてください
たくさん話をして、少しだけ、笑った。

笑ったのは、久しぶりかもしれない。

あの人には人を楽しませる力があるのかも。


だけど、聞きたいことは聞けれなかった。


聞いてはいけない様な気がした。

あの事件について、触れてはいけない。

それはお互い感じていたのかも。

…なんて、私の気持ち悪い妄想はやめよう。

ふぅっと一息つき、勉強を始める。

少しあるプリントを終わらせておこうと思ったから。

すると、私のスマホに着信が来た。

…誰だろか?

メッセージアプリを起動させる。

相手は華山先輩だった。

『やっほー!元気?今何してるのー?』

そう言えば、IDを教えたんだった。

『元気ですね。私は、そんなに元気じゃありません。今は勉強してます』

面倒臭いと思おながらもちゃんと返信する
私が少し恥ずかしくなった。

『へー!真面目だねー!俺はね、今ゴロゴロしてる!』

『少し私を見習ったらどうですか?』

『えー!やだー!』

『それ、どういう意味ですか?』

数時間で、軽い冗談を言い合えるくらいになれるとは…やはり、華山先輩はすごい人なのかもしれない。

『では、私は勉強したいので』

『そっか〜俺はもう寝るよー』

『…おやすみなさい』

『おやすみぃ〜』

そうして私は、参考書に手を伸ばした。
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