【短】スウィートドーナッツ
私、本当にありえない。
いくら先生のことを何も知らないとはいえ、誕生日さえも知らなかったなんて……。
しかも、他の女の子たちは、みんな知っていたんだ。
どこかで、私は先生の“特別な生徒”なんじゃないかと思っていた。
先生のことを好きな子は、他にもいっぱいいる。
先生のことを、先生として好きな子もいるだろう。
だけど、あの中に、私と同じ目で先生を見ている子も、絶対にいる。
彼女になんか、なれなくてもいい。
先生のいちばんかわいい生徒でいたい。
必死だった。
目の前にある先生の笑顔を、今だけは私だけのものにしたくて……。