【短】スウィートドーナッツ
「美央!!!」
聞こえないはずの声がした。
振り向くと、そこには……。
「先生!!!」
車に乗ったまま、窓から手を出す先生がいた。
先生は、車を停めるために左手を助手席の後ろに回し、難なく車をとめる。
車を運転をしたことのない私でも分かる。
先生は、車の運転がすごく上手い。
もう、かっこよすぎるよ……先生。
車から降りた先生は、私に微笑む。
先生のワインレッド色のネクタイに、ドキドキする。
「先生……どうして?」
私の問いかけに『ん?』って顔をしながら、先生が答える。
「美央がいるんじゃないかと思ってさ、来ちゃった!」
そう言う先生に、思わず抱きついた。
また、涙出そう。
「美央~! 俺、ドキドキしちゃうだろ!」
そう言いながら、抱きしめ返してくれた先生は、本当に優しい人。