【短】スウィートドーナッツ
先生は校舎の鍵を開け、私を中に入れてくれた。
校舎には、私と先生だけ。
ほらね。
土曜日は、やっぱり素敵な日。
「来て良かったぁ。美央が校舎の前で泣いてるんじゃないかと思ってさ! 先生~って。」
先生は、そう言って、またいたずらっ子のような笑顔を見せた。
私は、先生の腕を叩く。
「そんな泣き虫じゃないもん!でも、ありがと、先生!」
私がそう言うと、先生は照れたように笑った。
まさか先生がそんな顔をするとは思わなくて、こっちまで照れてしまった。
「それにしても、美央頑張ったなぁ、今週のテスト!」
照れ隠しに話題をかえたのか、成績優秀者のランキングを見ながら、先生が言った。
「先生、また言ってる~!」
私がからかうと、先生は『うるせ~!』って、また照れた顔をした。
「ば~かぁ。俺がどんだけ嬉しかったか、知ってんの?」
ねぇ、先生。
先生のその言葉が、どれだけ嬉しかったか、知ってる?
私の気持ち……
知ってますか?