【短】スウィートドーナッツ
「ごめーん、先生!忘れちゃった!」
私がペロリと舌を出すと、先生はちょっぴりスネた顔をした。
「ふーんだ、いいもん。美央は特別に個人授業してやる!」
先生は『フフーン、どうだ!』と言わんばかりに、得意げな顔で私を見る。
でも、そんなのは逆効果。
私は目を輝かせた。
「個人授業!?」
先生は、ギョッとした顔で私を見た。
「なぁーに嬉しそうにしてんだよ!ほんと美央は、俺のこと好きだな!」
先生はそう言って、私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
本当に分かって言っているのか、冗談で言っているのか分からない。
けれど、私は口元の緩みを抑えることができず、思わず自習室まで走った。
大きな声で、『うん、大好きだよ!』って、返事をしながら。
今日の授業は先生の顔、見れないや。