桃色センセイ&狼生徒
携帯には、姉と撮ったプリクラを貼っていた。
「友達?」
「あ、姉…です」
「そっか。どおりでそっくりなわけだ。美人姉妹なんだね」
狼くんは、じりじりとわたしに歩み寄ってくる。
「け、携帯…返して下さい……」
「キスしてくれたら、返してあげるよ」
わたしとの距離を完全に縮めた狼くんは
目を閉じてそう言った。
「か…からかわないで…!!」
わたしは首を捻り、狼くんから顔を反らした。
「からかってないよ。
ほら、キスしてくれないと返さないよ?」
狼くんの顔が、目の前まで来た。
「…や…っ」
もう、無理だと思ったとき
「いい加減にしな、ばか狼」
という言葉とともに
パシン、という音がした。
「イテッ!!…何すんだ一樹!」
「アンタが調子に乗ってるからだよ。
ばぁーか」
一樹が、舌を出して、狼くんを睨んだ。
な、なんとか
助かった。