桃色センセイ&狼生徒
白く小さな顔に、少しだけピンクに染まった頬…
大きな黒目の瞳…
そして緩やかに反り返った長い睫毛……。
艶のいい桃色の唇……。
お、女の子みたい。
サラサラとした茶色の前髪は、狼くんの顔に影を落とし
ミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
初めてまともに顔を見た。
確かに…これが普通の女の子相手だったら……
一発でオチただろうけど…
相手を間違えてる気がする。
「桃…の、香り?」
わたしは、微かに鼻を擽る、甘い香りに気が付いた。
「あ、俺の匂い。
セッケン桃の匂いなんだよ。
センセの名前と一緒!桃、ね?」
笑った顔は、完璧な女の子だった。
これで女の子の格好してくれてればなぁ…。
普通に接することができたのに。
そう思ったのに、なぜか
目の前にいる男の格好をしたままの狼くんは
あまり恐くはなかった。