桃色センセイ&狼生徒
「もう二度と連絡くれないと思ってたよ」
車を運転しながら、元彼…
大貴がしみじみと言った。
「いつか、恐怖症が治ったら連絡しようと…思ってたから」
わたしは窓の外を眺めながら言った。
六年ぶりに会った大貴は、随分と変わっていた。
髪は明るい色になり
昔は裸眼だったのに、今は縁眼鏡なんか掛けてる。
「で、治ったの?」
「“治すため”に連絡したの」
「……?」
大貴は車を停め、わたしを見た。
「どうゆう意味?」
「…男性恐怖症…治したいと思ったの。
だから…大くんに協力してほしくて」
わたしは、狼くんのことや、塾のことを話した。
「なるほど…」
「自分勝手で、ごめんね」
わたしは大貴と目を合わせることなく、淡々と喋った。
まだ、怖いんだ。
「構わないよ。
じゃあ、今日から擬似恋愛で特訓だな。
まずは、目を見て話すこと」
大貴はニコッと笑い、わたしの目を見た。
レンズ越しの瞳は、六年前と変わらない
キラキラした瞳だった。
この目にひかれたんだ…。
わたしは大貴の目を見たまま、大きく頷いた。