桃色センセイ&狼生徒
その日から、わたしの特訓が始まった。


仕事の送り迎えは大貴にしてもらい


話すときは笑顔で目を見て話すこと

ボディータッチをされても、悲鳴を上げないこと

などを決めた。



特訓開始から二週間……


「桃佳ちゃん、最近よく来てるのって、彼氏?」


一樹が、塾の外を眺めながら言った。


「ん……、と、特訓?みたいな」

「特訓!?」

「あの…男性恐怖症を治すために…協力してもらってるの」



一樹は納得したように頷き、わたしの頭を撫でた。


「頑張ってね?」


何か、わたしが年下みたい…。


少しむくれていると、狼くんが、機嫌の悪い顔で教室に入ってきた。



「彼氏、また迎えにきてるよ。
センセ!!」

「えっ?あ、ありがとう!」



わたしは急いで鞄を手に取り、教室を出た。




―――


「いいの?狼ちゃん」

「何が?」

「桃佳ちゃんのこと」

「関係ねぇな…」

「……本気で…好きになっちゃったんでしょ!?」



狼は、カッと目を見開き、鞄も持たず、教室を出ていった。



「ホントに…世話の焼ける奴だわ」
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