桃色センセイ&狼生徒
入ってきたのは、浮世離れした
妖艶な美少女だった。
「…あ…あなた、どこのクラス?
…この教室はもう使わな…」
「俺だよ。センセ」
え…?
「狼……くん?
狼くんなの?」
わたしはその“美少女”の顔を凝視した。
茶髪のロングヘアで
スカートを履いているけど
「あ…桃の香り…」
この香りは確かに…狼くんだ。
「……でもっ、どうしてそんな格好…」
「…この格好なら恐くないだろ…」
あ…。
「わたしの……ため?」
「……っ。……そうだよ…。
女なんて大嫌いだったのに…!!
でも…」
狼くんはロングヘアのウィッグを外し、一歩わたしに近付いた。
「…あんたなら信じてみたいと思った。
…あんたを…好きだと思った」
狼くんの言葉を聞き終わる前に
わたしは自ら狼くんを抱きしめていた。
「…ちょ…センセ……」
「好きだよ。狼くんが好き。
他の男の人はまだ少し恐いけど…狼くんは恐くないよ」
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