桃色センセイ&狼生徒
狼生徒
視線が、背中に突き刺さる。
チョークを持つ手ががたがたと震えてしまう。
「セーンセっ、俺ここわかんね」
さっきの生徒が、わたしの耳元で囁いた。
「ひぎゃぁぁあ!!」
わたしは、チョークを落としてしまった。
パリンと、チョークの割れる高い音がする。
「センセ?びっくりしちゃったカナ?」
ち、ち、近い!!
顔近いぃ!!!
「あ、あ…あのぉっ、お、教えますから!!
席着いてください!!」
わたしはがたがたと震えながら、必死で顔を逸らした。
生徒はニッと笑って席に戻った。
そして約50分後
やっと初授業が終わった。
「…センセ、またね」
あの生徒がニッコリと笑って言い、帰っていった。
「桃佳ちゃんだっけぇ?」
後ろの席に座っていた、赤いロン毛くんがわたしの前に立った。
「は、は、はい…」
「ロウちゃんに目ぇつけられちゃったねぇ」
「ろ、ろう?」
「さっきのイケメンよ。
あの子狙ったオンナは絶対逃がさないの」
な、何故にお姉言葉……?