干物ハニーと冷酷ダーリン
翌日。
昨日、あの後カツサンドを食べ終えた川本はすぐに家に帰って行った。
カウンターにあった髪留めは、どうも川本のだったらしく、前に来た時に忘れていったものらしい。
そして、今度は財布を忘れて行った。
後藤さん曰く、いつも何かを忘れて帰るらしいのだが、日常生活でなくてはならない物はその日のうちに取りにくるから大丈夫らしい。
そんな川本の私生活を垣間見てから、今目の前にいる奴が同一人物なのかと思うと今になってギャップの差を感じる。
「……?水城さん、何かようですか?」
『………いや、別に』
「そうですか?……………黒崎さん起きて下さい!あと黒崎さんの原稿だけなんです!早く先生からもぎ取って来て下さい!」
『川本………もうちょい印刷所、伸ばしてくれないか………俺、もう、ダメかも…』
「何言ってるんですか!どやされるのはあたしなんですよ!」
『…川本、慣れてるだろー。」
「冗談じゃないですよ!こんな事になるなら、昨日休まないで下さいよ!」
『酷い!俺だってたまには休みたいよ!』
「そんな子供みたいな事、言わないで下さいよ!」
と、まぁいつもの如く言い争いをする二人。
そろそろ鬱陶しい。
『うるせぇー!口じゃなくて、手を動かせバカ共が!』