干物ハニーと冷酷ダーリン
『……うるさい。脅迫罪で訴えてやる』
いつもの如く、ドアチェーンを外す事なくその隙間から顔を見せる久留米先生。
「先生!いい加減、これ外していただけないですか?」
『そうしたら君、侵入してくるだろ』
「当たり前じゃないですか」
『却下だ。帰れ』
帰れと言われて帰る編集者はどこにもいない。
閉め切り守れと言って守る漫画家もそうはいないように。
「先生、もう子供じゃないんですからそういうの辞めません?」
『……君より子供だ』
ああ、確かに。今年22歳ですもんね。
って、そんなもん通用するか!
「成人男性たるもの、働いてなんぼでしょ!」
『うるさい。大きな声でそれを言うな』
それは、失礼。どこで誰が聞いてるか分からないですもんね。
人気漫画家、久留米千晴先生がまさか男だなんて。業界でもそれを知っているのは極数人しかいない。