干物ハニーと冷酷ダーリン
「川本…戻りました、、、」
午前中に飛び出し、出版社に戻ったのは午後3時過ぎだった。
何とか、久留米先生からプロットとキャラ表をあげてもらうことができた。
この勢いでネームまで持って行こうと思ったが、旅行は辞めるから自分のペースでネームはやらせてと言う先生に折れてあたしは戻って来た。
はぁー。何だろう。いつもより体が重い。
頭痛もしてきたし、全体的にだるい。
『お疲れ……って、川本。顔やばくない!?』
デスクに着くなり、黒崎さんにディスられた。
この人、あの日の事忘れたんだろうか。
恩を仇で返すとか、無礼極まりない。
「……この顔は生まれつきです」
『あっ、違う間違えた!顔色悪いよ、体調悪いの?』
「あー、はい。黒崎さんに硝子のハートがバキバキになりました」
『ごめん、ごめん。さっきのはいい間違いだって!そんなに威嚇しないでよー』
いつものこんな言い争いも、頭に響き頭痛が増すのは何故だ。
しんどい。今は黒崎さんを構ってられる程の気力はない。
『川本、ちょっとこい』
水城さんに呼ばれ、のそのそと怠い体を引きずりながら、打ち合わせ室に入っていった水城さんの後を追った。