干物ハニーと冷酷ダーリン



『おーい!川本!遅いぞー!』


「すみません、黒崎さん」



宴会場には、人数分の懐石料理が並べられていて、各自料理に箸を進めている最中だった。



えーと、高橋さんは、、、、、。

そんなあたしの心配は余所に、高橋さんは水城さんの隣に座って楽しそうにしていた。



ああ、良かった。水城さんが隣に居れば最悪の事態にはならないだろう。



『川本、取り敢えず飲め!』


ほれほれと、グラスをグイグイ押し付けてきてそこにビールを注ごうとする黒崎さん。



「すみません、黒崎さん。あたしウーロン茶で!」


『はっ?何でだよ!川本も飲もうよ!折角の旅行なんだから』


「いえ、結構です。すみません!ウーロン茶下さい」


配膳しているスタッフさんに、ウーロン茶を頼む。
流石にアレになっている時に、アルコールを摂取するのはキツイ。



『えー、川本冷たい!じゃあ、、、高橋!』



標的を変え、次に高橋さんの所に瓶ビールを持て移動する黒崎さん。

あの人、副編集長なのに注ぎに回ってるし。


そういうのは、あたしとか高橋さんとか新人くんの役回りなのに。



「あっ、どうぞ三野さん。ビールでいいですか?」


『ああ、ありがとう。川本は飲まないのか?』



「えぇ、まぁ、ちょっと……」


すると、三野さんはあたしのグラスにウーロン茶を注いでくれた。



順々にビールをお酌したり、話をしたりで時間が経っていたのか薬も効いてきて体も楽になってきた。




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