干物ハニーと冷酷ダーリン
『…川本、お前食ってんのか?』
「あっ、はい。ちょこちょこと」
水城さんにお酌をと、瓶ビールを傾け注いでいた。
高橋さんは、絶賛黒崎さんに捕まっている。
『こんな事はいいから、食え』
と、そうは言ってもですね、水城さん。
「あたしもそうしたいんですが、黒崎さんがですね……」
注ぎに回ってるんですよ。
上司が部下に。
それを見てたら、やらないわけにはいかないといいますか。
『今に始まった事じゃないだろ』
「そうなんですけど、、、」
これが、社会人6年目と新人の違いなのか。
まったくもって、高橋さんに滝くん富井くんが動かないのは何故だ。
旅行といえど、それなりに気を使う場面もあるでしょう。
オンとオフの切り替えがこういう時に出来ないあたしがおかしいのでしょうか。
「ちょ、すみません。副編集長。あたしこれ以上飲めませんよ」
『えー、そうなの?まだグラス二杯だよ?』
「すみません、あたしビールは苦手で…」
『じゃあ、違うの飲む?焼酎?日本酒?』
「…あの、ちょっとすみません。あたし下戸なので」