干物ハニーと冷酷ダーリン
油断した。
ちょっと、目を離してるうちに黒崎さんが高橋さんに絡みだしていた。
それを見て、周りの人も煽り始め高橋さんは今にも泣きそうだ。
これだから、酔っ払いの男共は面倒だ。
「ちょっと!黒崎さん!無理に飲ませないで下さいよ!パワハラです」
『あー、川本!いやー、だって親睦も大事だろ?』
「大事ですけど、相手は二十歳の女の子ですよ!少しは考えて下さい」
『おー、そうか。そうだな。無理は良くないよなぁー』
「黒崎さんも、お酌ばかりしてないでじっとしてて下さい!はい、どうぞ」
なんとか、黒崎さんを所定の位置に戻しグラスにビールを注ぐ。
煽っていた人も、いつしか雑談をしながら宴会を楽しんでいた。
少し外の空気を吸ってこよう。
そっと宴会場を後にし、廊下を歩く。
火照った体を冷やすのに、ちょうど良さそうな場所を見かけて、ライトアップされている中庭へと下りた。
飲んでないのに、熱気に当てられた。
パタパタと手で顔を扇ぐ。
「あれ?水城さん?」
ベンチがあり、腰かけようと近寄ってみるとそこには先客がいた。