干物ハニーと冷酷ダーリン
『……川本か』
水城さんは、なに食わぬ顔でタバコを吸ってらっしゃる。
と、いうと宴会場には酔っ払い集団の中に高橋さんが1人。
「水城さん、何でこんな所にいるんですか!」
『……館内は禁煙だ』
確かに、一階の喫煙スペースはここしかない。
「いや、そういう事ではなくてですね。今、高橋さん1人じゃないですか!」
『……だから、どうした』
「危ないじゃないですか、高橋さん普通の女の子なんですよ」
『これも社会勉強だ、放っておけ』
涼しい顔で、しれっと言ってくれる。
どこまでも鬼対応ですね。
そっと水城さんの隣に座る。
紛いにも黒崎さんは副編集長だ。
間違った事は起こらないはずだ。
大丈夫、大丈夫、大丈夫ですよね?
どっぷり座り込んでしまったあたしは、急ぎ引き返すだけの気力も体力もなく、正直面倒だって事もあって動けないでいた。