干物ハニーと冷酷ダーリン


ベンチに水城さんと二人。

ボケーっと空を見上げる。
雲1つない満天の星空。

あの殺人級の多忙な日々からは想像も出来ない
ゆったりと流れる時間。

星空を見上げるなんていつ振りだろう。

こんな何分と掛からない行動なのに。





『……川本、大丈夫か?』


「……はい?」


『いや、さっき顔の血色が悪かったろ』


「ああ、はい。大丈夫ですよ」


『そうか、ならいい』




そして、また沈黙。

水城さんが空を見上げたから、あたしはちらっと水城さんを盗み見る。


水城さん、意外と小さな変化もよく気が付くんだよねぇ。
観察眼も装備している強者である。

でも今は水城さんもリラックスしているようで、普段は絶対に見せないような無防備な表情をしている。



ほぉー。
これは、漫画の1コマに使えそうな被写体だ。
写真撮らせてくれるかな?

幸いスマホは、ここにある。

撮っちゃう?資料の為ならいいかな?
漫画の為だし、いいよね?









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