干物ハニーと冷酷ダーリン
『…………何してる』
「いえ、お気になさらず。どうぞ星空を眺めてて下さい」
こそこそと、スマホのカメラ機能を立ち上げたところまでは良かった。
あとはピントを合わせて撮るだけだったのに。
まんまとバレた。
寸前でバレた。
あと少しだったのに、ちくしょう。
『それは何だ』
「スマホです」
『それをこっちに向けた理由を言ってみろ』
「…………記念撮影です。インカメです。自撮りです」
『………、あっそう。俺戻るわ』
「っ!なんでですか!」
せっかく見つけた被写体。
お願い、せめて1枚!!
ワンチャンスプリーズミーですよ。
『……何を企んでる』
「…いえ、別に何もです。ほら、星空ってあまり見ないじゃないですか。勿体無いですよ?」
『別にいい』
「そんなわけないです!いいから、ここに座って見上げて下さい!頼みます!」
勢いあまって、変な事を口走った。
その証拠に水城さんの眉間にシワが刻まれた。
これは言い逃れが出来なくなってしまった。
あまりに必死すぎた。