干物ハニーと冷酷ダーリン
「黒崎さん、本当にもういいので、午後からあたしの方手伝って下さいよ」
あの暑い中にいるだけでもしんどいのに、声まで張り上げないといけないってなると1人じゃやってらんない。
『えっ。やだよ。暑いじゃん。シミ出来たらどーすんの?』
「…はっ?」
『いや、オッサンにこの紫外線は厳しいよ。もう自然治癒力とかあてになんないし』
はぁー?何なの?
何この女子思考。
しかも、悪気もなさそうにいけしゃあしゃあと言いやがって。
「あたしだって嫌ですよ!暑いし、人だらけだし、香水臭いし、ゲロ出そうだし!何なんですか!何で黒崎さんなんですか!なにそれ、なんの!こんちくしょー!」
きっとこの時のあたしは、正気じゃなかった。
暑さで脳ミソまでヤられたに違いない。
控え室は、エアコン効いてて快適だったけど……それでも頭がヤられていた。
黒崎さんは、そんなあたしを見てめちゃめちゃ焦ってた。
焦りすぎて、水城さんに電話していた。
そして、川本が壊れた。どーしよう。
と、狼狽えていた。