干物ハニーと冷酷ダーリン
編集部に戻ったのは17時を過ぎた頃だった。
デスクに戻りすぐに健康サンダルに履き替える。ビニール製の可愛いキャラクターがプリントされているものだ。
やっぱりこれが落ち着く。
『お疲れさん、川本』
「今日は、お疲れ様でした黒崎さん。あの、水城さんはどちらに?」
『あー、営業の所』
戻ってきたのはいいが、水城さんが不在だったのだ。
『川本、まだ帰らないのか?』
「まぁ、久留米先生が原稿描き直したいそうなので、今日は徹夜です」
『げっ、まじかー。キツいなぁ』
「ダラダラと過ごすので大丈夫ですよ。黒崎さんは帰らないんですか?」
『おー。俺も原稿待ち。いつ帰れるかなぁ』
そういえば、原稿が飛んだとか言ってたっけ。
しかも、今月の増刊号だし、黒崎さんの方がヤバいんじゃない?
月刊誌の方は、上がってるんだろうか。
自分の事じゃないけど、恐ろしいので聞かないでおこう。
黒崎さんを見る限り、白目を向きかけているのでそういう事なんだと思う。