干物ハニーと冷酷ダーリン
『おーい、川本。悪いけどこれちょっと見てくんない?』
悪いと思うなら、頼まないで下さい。
と、思いながら手渡されたネームを見る。
「……何ですか、これ?」
『だよなー。そう思うよなー。俺も何これ?って感じだよ』
「摩訶不思議と言うか、ねまぐるしいといいますか、、、、」
ネームを見る限り、現在と過去が入り交じっているうえに、切り替わり部分が分かりにくいったらありゃしない。
あれ、これ過去の話?
あれ、これいつ現在になったんだろう?
って、なる。
『だから、俺言ったんだよ!こーゆー系のストーリーは難しいし、時間が掛かるからいつもの感じでいいってさー』
「鈴村先生にしては、珍しいと思いましたけどね。間に合うんですか?増刊号ですよね?」
『間に合うわけないじゃん。見るからにボツじゃん。修正するより別物を上げてもらった方が早いよ』
椅子にのけ反りながら、何もかもを放棄したようにどこか遠くを見ている黒崎さん。
黒崎さんの努力もネームを見て分かる。
原本を見失うくらい、青のペンが目立っていた。