干物ハニーと冷酷ダーリン
「いや、まぁ、大したことじゃないんですけど……こんな事、初めてだったので」
これは嘘じゃない。
生まれてこのかたあんなのに巻き込まれた事など1度もない。
『そうか……黒崎が心配していた』
「後で黒崎さんにお礼しないと。何だかんだで、助けてもらったので」
『今回の事はあまり気にするな。危害を加えられたわけじゃないんだろ?』
「はい。それはないです」
『二度と関わる事もないだろうしな』
水城さんはムクッと立ち上がり、缶をゴミ箱にいれる。
話はこの辺で終わりなようだ。
あたしも、缶を捨てて編集部へ戻っていく水城さんの後を追いかけた。
そして、戻って早々あたしが提出した報告書を突き付けて書き直しを命じられた。
何故?と思って改めて見直すと、自分でも驚きの書き損じだらけだった。